月刊「金魚道」
月刊「金魚道」金魚をより深く知る情報マガジン
発行＆発売／大成企画（ダイセイキカク）出版事業部
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金魚の歴史
金魚特集
日本人に愛される金魚。
子供のころに親しんだ金魚すくいの和金から、高級魚のらんちゅうや琉金(りゅうきん)まで、どのような歴史やドラマがあったのか。
日本観賞魚振興会事務局長で、金魚の伝道師といわれる大野 成実氏に、金魚の歴史を語っていただきました。
協力：金魚道 大野 成実(1)金魚の来た道
金魚の故郷は中国です。いくつかの古い文献によれば、3世紀の晋の時代に中国南部地方で金魚の原種と思われる魚が見られたとされています。10世紀の北宋時代には、宮廷で観賞されるようになり、熱心に金魚飼育をする皇帝も現れ、南宋時代には金魚飼育や販売を生業とする者もいたようです。
14〜17世紀の明代になると水槽飼育が一般に広まると同時に、大規模飼育も可能となり、選別・淘汰が行われて新種が出現するようになり、体色だけでなく体型の改良も盛んに行われるようになりました。中国では珍しい体型を持つものが珍重される傾向にあったからです。
19世紀後半になると、飼育法を記した手引書も発行され、さらに選別・淘汰が意識的に行われ、次々に新しい種類が出現しました。中国では現在も金魚の飼育は大変盛んなようです。(2)日本への伝来
日本への伝来時期は、はっきりとしていないのですが、1748年に刊行された日本初の金魚の飼育手引書「金魚養玩草」(安達喜之著)によれば、1502年現在の大阪堺市に入ってきたとされています。当時の日本は室町時代末期の戦乱の世でもあり、だからこそ癒しの存在である金魚が必要だったのかもしれませんが、広く一般に普及するまでには至りませんでした。
江戸時代に入り世の中が落ち着きを取り戻すと、一部の大名や豪商などの特権階級の間で金魚飼育が行われるようになりました。さらに江戸中期以降、武士の副業などとして金魚養殖を藩を挙げて勧めるところも出てきて、金魚養殖はどんどん盛んになっていきました。大量生産されるようになるにつれ金魚の価格も下がり、庶民でも少し背伸びをすれば金魚を手に入れることができるようになりました。また、オランダ商人を通じてガラス（ギヤマン）の製造技術が伝えられ、ガラスの金魚鉢も作られていたようで、浮世絵や川柳などにガラスの中に泳ぐ金魚の姿が見ることができます。
(3)現在の金魚
現在、日本で主に養殖されている種類は、金魚すくいなどで見られる最もポピュラーなワキンから、リュウキン、ランチュウなどまで約25種類です。どんな種類がいるのかは、系統図を見てください。
系統図に載せていない新種も数多くありますが、金魚は人為的に作りだされた改良種であるため、同じ親から同じ仔が生まれるとは限らないため、安定供給することがとても難しく、市場で普通に目にすることができないものも多いのです。
はるか昔から人々に愛されてきた泳ぐ宝石、金魚。姿形も色彩も長い時間をかけて、先人たちが選別・淘汰してきた努力の結果、生み出されたものです。金魚は上手に飼育すれば思った以上に長生きし、その美しい姿、愛らしい泳ぎ方などで私たちを癒してくれます。みなさんも金魚の上手な飼育法を覚えて、金魚を飼ってみませんか？
2009年8月10日更新 文／金魚道 大野 成実
＜協力＞ 大野 成実 大成企画
大野成実(おおのなるみ)プロフイール
「月刊・金魚道」／編集主幹、大成企画代表。
1955年、江戸前金魚の故郷、東京江戸川区に生まれる。
小学生の頃より、釣りや観賞魚飼育に興味を持ち、大学在学中より釣り雑誌の編集や観賞魚飼育に没頭する。
その後「月刊フィッシュマガジン｣｢月刊ワン｣｢月刊キャッツ」などの編集長を歴任し、長年オールペットの飼育啓蒙と普及に務める。
日本を代表する水槽メーカーの企画部長を勤めたのち、日本観賞魚振興会の事務局長として観賞魚全般の普及・啓蒙活動を行った。
現在は、観賞魚の原点といえる金魚を、よリメジャーにするため、金魚の歴史や文化を一般にわかりやすく紹介する「月刊・金魚道」の制作・発行をしている。
大成企画 東京都江戸川区松江3-15-7
ギャラリー金魚道 東京都江戸川区春江町5-26-10
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